■北条一門として動く
牧三郎宗親という。駿河国大岡牧の人。下級貴族の身分で、北条時政の継室・牧の方の兄とされるが、父親説もある。初め大岡氏を名乗り、平清盛の異母弟である平頼盛に仕えていた。この頼盛は源氏と親しく、仕えていた宗親の身内である牧の方が源氏側に立つ北条時政に嫁いだのもそのいきさつがあってのことだろう。
この牧宗親にまつわるエピソードは次のものが有名だ。
1182年、源頼朝は亀御前という妾をもうけた。このことを牧の方が北条政子に密告。怒り心頭の政子はこの宗親に命じて、亀御前の邸宅を打ち壊させた。後日、このことを知った頼朝は怒り、宗親のマゲを切るという屈辱を与えた。この屈辱に対して北条時政は一族を率いて伊豆国へ戻ってしまった。 |